日常と夢の記憶:ユラの町という原風景
2011-06-23T09:00:31+09:00
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雑種犬と日々の暮らし 玩具箱のようなオブジェとコラージュ そして夢の記憶
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ユラの町という原風景
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2006-07-18T23:46:00+09:00
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2006-07-19T13:46:49+09:00
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ユラの町という原風景
真夏の昼間には道を歩く人もほとんど見かけない小さな町だ。
この町に住むまでの記憶は断片的な映像が2、3残っているだけなので、意識の上での私の人生はこの町からスタートしたといっても過言ではない。
この町で最初に住んでいた菓子屋の離れの家も、そこから農家の離れに引っ越した日のことも、駅へ続く道の線路際の土手に咲いていたアザミの花も、通っていた幼稚園の遊具も、普段は閑散としているのにお祭りの日だけにぎやかな駅前の広場も、すべて私の心の中に今もはっきりと残っている。
この町はもうすでに現実に存在する町ではない。
そのことに気がついてから、私は私の中にあるこの町をユラの町と名付けた。
目を瞑って心の奥の暗闇にまなざしを向ければ、深い井戸の底のような場所が仄かに明るくなっている。
それを覗き込むと見えるのがユラの町なのだ。
私がユラの町を心の中に持っていることに気づいたのは中学生の頃だっただろうか。
クラスメイトたちが初恋の話などをしている時、私はこの町のことを思ってせつなくなっていた。
そして「郷愁」という言葉が、このどうしようもない胸をしめつけるような感情を示すのだということを知った。
未来を向いていなければいけない時期から、ずっと私は老人のように昔を思って生きてきたような気がする。
現実にはこの歳まで生きてくると過酷な人間関係のトラブルや失敗や挫折や身体の不調など逃避してしまいたいことのあれこれはもちろんあった。
でもなんとかやり過ごしてここまできたのは、いつでも心の奥に目を向けると、ユラの町がひっそりとゆるぎなくそこにあるからだと思う。
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